あなたの栄養指導は本当に正しいのか?

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栄養指導
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登場人物:

  • 新人管理栄養士: 意欲はあるが、マニュアル通りの指導に限界を感じている。
  • たぬきもん(ベテラン管理栄養士): 経験豊富で、本質を突くアドバイスをする先輩。

(場面:終業後の給湯室。ため息をつく新人管理栄養士に、たぬきもんが声をかける)

新人管理栄養士:「はぁ……。たぬきもん、ちょっといいですか? 今日の栄養指導、なんだか手応えがなくて。」

たぬきもん:「お疲れ様。どうしたの? また『塩分を控えてください』って言って、患者さんに渋い顔をされちゃった?」

新人管理栄養士:「その通りです。ガイドラインに沿った正しい数値、正しい食事バランスを伝えているはずなんです。でも、相手の表情を見ていると『そんなの無理だよ』って心の声が聞こえてくるようで……。私の指導、何が間違っているんでしょうか?」

たぬきもん:「なるほどね。じゃあ、一つ聞いていい? 新人管理栄養士が伝えているその『正しさ』は、その患者さんの人生にとっても『正しい』ことなのかな?

新人管理栄養士:「えっ……? 人生にとって、ですか?」

たぬきもん:「そう。教科書的な正論を振りかざすだけなら、AIでもできる。私たちが本当に考えなきゃいけないのは、その先にあるものなんだよ。」


ポイント

  1. 「正論」が「凶器」になる瞬間: 相手の生活背景を無視した指導の危うさ。
  2. 行動変容の鍵: 数値の改善ではなく、患者さんの「こうなりたい」に寄り添うこと。
  3. 今回のテーマ: 「相手に伝わり、行動が変わる栄養指導とは何か」を深掘りする。

たぬきもんの「人生にとって正しいのか?」という問いかけに対し、新人管理栄養士が自分自身の指導を振り返り、本質的な課題に気づき始める場面です。


新人管理栄養士:「人生にとって、正しいか……。考えたこともありませんでした。私はただ、検査数値を下げることばかりに必死で…。。」

たぬきもん:「真面目な新人管理栄養士らしいね。でもね、例えば『晩酌が唯一の生きがい』だという人に、『今日から禁酒です』と伝えることが、その人にとっての正解だと思う?」

新人管理栄養士:「それは……数値は良くなるかもしれませんが、その方の毎日の楽しみは消えてしまいますよね。でも、管理栄養士としてダメなものはダメと言わなきゃいけないんじゃ……?」

たぬきもん:「そこが落とし穴なの。私たちは『指導者』ではなく『伴走者』であるべきなのよ。正しい知識を押し付けるのが仕事じゃなくて、相手が『これならできそう』と思える妥協点を一緒に見つけるのがプロの仕事じゃないかしら?」

新人管理栄養士:「妥協点……。確かに、今日の方は『仕事が忙しくて自炊なんて無理だ』とおっしゃっていました。そこに私が『副菜をあと1皿増やして』と伝えても、それは相手を追い詰めるだけの“正論”だったのかもしれません。」

たぬきもん:「その通り。相手の生活というパズルの中に、どうやって栄養というピースをはめ込むか。それを考えるのが私たちの本当の腕の見せ所なんだ。ねえ、新人管理栄養士さん。あなたの指導、もう一度『相手の目線』で見直してみない?」


  • ポイント1:正論よりも「納得感」
    • 患者が「やらされている」と感じる指導から、納得して「やってみよう」と思える指導への転換。
  • ポイント2:生活背景のヒアリング
    • 食事内容を聞く前に、相手のタイムスケジュールや価値観を知ることの重要性。
  • ポイント3:具体的な改善案の提示
    • 自炊が無理ならコンビニで何を選ぶか。お酒を減らせないなら、何をセットで食べるか。


新人管理栄養士:「具体的にどんな風に指導を行えば、相手は指導内容を実践してくれるのでしょうか」

たぬきもん:「実際は相手の食事内容だけでなく食事頻度、自炊環境や家族構成、仕事内容、生活習慣などを詳しくヒアリングしていく必要があります。ここで、栄養士は「聴くこと」に集中してみてください。例えば、自炊環境は十人十色。コンロなどの熱源がなく電子レンジしかない家庭だってあります。そんな家庭では自炊を進めるよりも外食や中食の選び方を中心に指導しなければいけません。ある程度ヒアリングを終えたら内容をまとめて実現可能な食事をイメージしながら栄養士は相手の食事内容をオーダーメイドしていきます。ここでは必ず相手にその提案が生活にどう組み込んでいけるか確認しておきましょう。

例えば、課題『朝は必ずタンパク質を摂る』

  ⇨提案『ゆで卵食べる」のはどうですか?』

Aさん
Aさん

朝はバタバタするけど、ゆで卵なら前の日に作っておけるから慌てずにできそう

Bさん
Bさん

朝食を食べる時間なんてない

たぬきもん
たぬきもん

では、プロテインジュースやプロテインバー、魚肉ソーセージなどはどうですか?

Bさん
Bさん

それならできそう!

それでも長年慣れ親しんだ食習慣を変えることはかなりの労力を要するのでハードルをできるだけ小さく設定するのがポントになります。

新人管理栄養士:「確かに今までの習慣を変えるのって大変ですよね。自分も目標を立てても計画倒れしてしまうことがよくあります…。」

たぬきもん:「もちろん、指導内容がしっかりと守れたらいいですが、なかなか難しいところもあると思います。ただ、できなかったとしてもいいんです。3日坊主で構いません。次の日からまた続けてもらえれば、それはだんだんと習慣化していきます。そういうことも伝えてもらえれば相手負担がぐっと減ってきますよ。変化している感覚を持ってもらうことが、食習慣の改善、行動変容につながっていきます。」

新人管理栄養士:『なるほど。次回からその人個人に寄り添った指導を行えるように工夫してみます。ありがとうございました。』


栄養指導に求められているのは「教科書通りの正解」ではなく、多様化する個人のライフスタイルに最適化された「納得感のある提案」です。

行動変容を促すためには対象者の準備性に合わせた支援が不可欠であると示されています。

これまでの対話を、ブログの締めくくりとして以下の3つのポイントでまとめます。


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まとめ:あなたの栄養指導を「一生モノ」に変えるために

「正しいこと」を伝えているのに相手に響かない。その原因は、指導が「相手の生活」から浮いてしまっているからかもしれません。栄養指導において、私たちが再確認すべき指標は以下の3点です。

  1. 「指導者」から「伴走者」へのマインドセット
    数値を改善させることをゴールにするのではなく、患者さんが「自分らしい生活を送りながら、健康を維持できる方法」を一緒に探る姿勢が大切です。
  2. 「正論」を「具体的な提案」に変換する
    「野菜を増やしましょう」という正論は、忙しい現代人には届きません。コンビニ商品の栄養成分表示の活用法や、外食での選び方など、相手の生活圏内ですぐに実践できる「具体策」を提示しましょう。
  3. 「聴く力」が「変える力」を生む
    相手が何を大切にしているのか、何がハードルになっているのか。相手の価値観を否定せず、まずは受け入れること(動機づけ面接の技法など)が、結果として行動変容への最短ルートとなります。

「あなたの指導は、相手の人生を豊かにしていますか?」

明日からの指導では、一度だけ正論を脇に置いて、相手の「できそうなこと」を一緒に探してみることから始めてみませんか。


1. 栄養指導の「本質」と「最新動向」を知る

2. コミュニケーションと「行動変容」を学ぶ

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット:保健指導における学習支援
    • 行動変容ステージモデルに基づいた、相手のやる気を引き出すための基本的な考え方が公的にまとめられています。
  • 動機づけ面接(MI)とは | 心理オフィスK
    • 「正論」ではなく、相手の内的動機を引き出すカウンセリング技法「動機づけ面接」の基礎知識。管理栄養士のスキルアップとして今最も注目されている手法の一つです。

3. スキルアップとツールの活用

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