人間は脳で食べている?おいしさの秘密

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おいしさとは?

 提供している食事が「おいしい」と言ってもらえることは管理栄養士をやっていくうえでひとつのやりがいにもなっていると思います。でも、全く同じ料理を提供しているのに違う意見を聞くことがあります。

Aさん「味付けも焼き加減も丁度いいよ」

Bさん「味が薄すぎる。焼き過ぎて硬いわ」

AさんもBさんも摂食機能的にはほとんど同じにもかかわらずこういった味の感じ方の違いがあります。

なぜこういった味の感じ方が違うのか。

今回の参考文献▼▼▼


人間は脳で食べている (ちくま新書) [ 伏木亨 ]

おいしさを決めるのは4つの要因がある

①生理的なおいしさ

 体に必要な栄養素を含む味が美味しいと感じる味です。

「お腹が空いた→食べたい」といった感覚です。他にも汗を大量にかいたあとにスポーツ飲料がほしいと思う現象はこれにあたります。

②文化的なおいしさ

 馴染みの味で幼少から食べなれた味などが該当します。「おふくろの味」などがわかりやすいです。地元の郷土料理なども文化的な味と言えるでしょう。

③情報によるおいしさ

 「高級」「本格的」などおいしさを強調するような情報があるときおいしさを感じやすくなります。同じ味でもネーミングによっておいしさが異なってきます。

「からあげ」と提示するよりも「揚げたてからあげ」と書いた方が、後者のほうが美味しそうに感じると思います。

④病みつきのおいしさ

 砂糖や油などの脳の報酬系を刺激するもので快感を与えおいしいと感じています。

甘い菓子類や間食、ジャンクフードなどは病みつきになるおいしさによって食べたくなります。

栄養管理・給食で使える「おいしさ」の使い方

意慾低下や認知症などで食べることへの関心薄れてしまった人には文化的なおいしさを使うのが有効です。昔から好きだった食べ物は安心感を与えます。私自身それをきっかけに食事摂取量が改善したというケースもよく経験しています。

また焼いた魚を提供しても「これは何の魚?」「塩焼き?漬け焼き?」と感じてしまいますが、情報があればどうでしょうか。例えば「お品書き」があれば感じ方は違ってきます。

「さわらの西京焼き」と書けば、「今日はさわらか!今旬だからきっと美味しい」「西京焼き好きだから、うれしい!」と感じ方は変わってくるでしょう。

お品書きがなくても、一言「今日は“さわらの西京焼き“ですよ。味噌も〇〇のところのを使っているのできっとお口に合うと思います」など声かけ行うと情報によるおいしさを高めることができます。

逆に問題なのが病みつきになるおいしさです。

狩猟採集の時代にから私たちの脳はあまり変わらないと言われています。病みつきのおいしさはそのころ貴重でその時に食べておかなければありつけない物でした。この機能は狩猟採集時代には生きるためのすべでしたが、現代においてそれが仇となってしまっています。偏食傾向、間食がやめられないのは病みつきになるおいしさによっておこる現象です。それにとらわれ過ぎて肥満や生活習慣病の原因になってしまいます。

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みんなで食べるとおいしい理由

4つの要因の他にも、家族や親しい友人と同じ食卓を囲むと「オキシトシン」が分泌され、おいしい感覚が大きくなります。「オキシトシン」は相手への愛情や信頼感を高める働きがあり、母親が赤ちゃんに母乳を与えるときなどに分泌される愛情ホルモンです。

1人で食事を食べる時に比べ、5倍ものオキシトシンが分泌されています。

「同じ釜の飯を食う」というのは食を分かち合い、集団の絆を強める効果があるようです。

おいしいを理解するとよりおいしくなる

どんな料理でも食べる人によって味は異なり、お腹の空き具合、育ってきた環境、情報に対する感じ方など味で味は変わってきます。

おいしいの奥深さえを感じるとより食事がおいしくなる気がします。

今日食べた食事の「おいしさ」はどんなおいしさでしょうか。

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